iPhoneで5G電波測定してみた(都市部ビル内)
iPhoneには「フィールドテストモード」という、電波の詳細情報を確認できる機能があります。
電話アプリにて「*3001#12345#*」で発信します。
今回は、**都市部のビル内で測定した実例をもとに、
5G+表示の実態
LTEとの違い
各数値の意味
PCI・TAC・PLMNとは何か
をわかりやすく解説します。
測定環境
キャリア:携帯事業者
表示:5G+
場所:都市部ビル内

LTE(バンド1:2.1GHz)の状態

| 指標 | 実測値 | 一般的目安 | 技術評価 |
|---|---|---|---|
| RSRP | -88 dBm | -80以上◎ / -90普通 / -100以下弱い | 室内としては良好 |
| RSRQ | -7 dB | -5◎ / -8普通 / -10以下悪い | 比較的良好 |
| SINR | -15~-17 dB | 20以上◎ / 10普通 / 0以下悪い | 重大な劣化 |
■ RSRP(Reference Signal Received Power)
受信電力の絶対値。
-88 dBm → 屋内としては十分実用範囲
パスロスはあるが致命的ではない
👉 カバレッジは確保されている
■ RSRQ(Reference Signal Received Quality)
RSRQ ≒ N × RSRP / RSSI
(帯域内の総受信電力に対する参照信号の割合)
-7 dB → セル内干渉は軽度
👉 セル負荷は中程度と推定
■ SINR(Signal to Interference plus Noise Ratio)
最重要指標。
-15 dB台 → 強い同一周波数干渉
スケジューラ効率低下
高次変調(64QAM/256QAM)困難
👉 実効スループットは大幅低下
5G(バンド77:3.7GHz)の状態
| 指標 | 実測値 | 目安 | 評価 |
|---|---|---|---|
| RSRP | -117 dBm | -90以上◎ / -110以下弱い | かなり弱い |
| RSRQ | -17 dB | -10以上普通 | 劣悪 |
| 帯域幅 | 100MHz | 高速用広帯域 | 活かせていない |
■ 高周波の宿命(Sub6特性)
n77(3.7GHz)は:
壁透過損失が大きい
建物内減衰が顕著
都市部では反射多発
👉 屋内での電界強度確保が困難

■ NSA構成の本質
今回の接続は5G NSA(Non-Standalone)。
構造:

LTE(EPC)=制御プレーン
5G(NR)=ユーザプレーン追加
つまり:
RRC制御はLTE依存
ハンドオーバーもLTE主導
LTE品質が悪いと全体が不安定
👉 今回は「LTE依存型5G」

都市部ビル内でSINRが悪化する理由
都市部では:
基地局密度が高い
同一周波数再利用が進んでいる
高層ビルによるマルチパス増大
特に:
同一PCI近接配置+反射波により、**同一周波数干渉(CCI)**が発生しやすい。
SINRマイナスはその典型例。

PCIとは何か(セルレベル識別)
PCI(Physical Cell ID)
LTE:0~503
NR:0~1007
物理層同期識別子
用途:
セルサーチ
PSS/SSS検出
近接セル識別
※全国で再利用されるため一意識別ではない。
TACとは何か(エリア管理単位)
TAC(Tracking Area Code)
複数eNodeB/gNodeBを束ねる管理単位
TAU(Tracking Area Update)で更新
コア網側では:
着信時のページング効率向上が目的。
PLMNとは何か(事業者識別)
PLMN(Public Land Mobile Network)
構成:
MCC(国コード)+ MNC(事業者コード)
例:
440 → 日本
XX → 携帯事業者
SIMは接続許可PLMNを保持しており、
ローミング時は優先順位で選択される。
技術者視点:今回のボトルネック
LTE SINR劣化
n77弱電界
NSA構造依存
都市部CCI増大
結果:100MHz帯域を活かせない状態
改善策(現実的アプローチ)
窓際へ移動(10~20dB改善例あり)
5G OFF → LTE安定化
Wi-Fi利用(最適解)
屋内DAS導入(事業者側対策)
まとめ
iPhoneで電波測定する際は、
RSRPだけで判断しない
SINRを最優先で見る
5G表示=高速ではない
NSA構成を理解する
これが重要です。
結論
今回の都市部ビル内測定は:「5G+表示だが、実態はLTE品質依存の弱電界5G」という典型例でした。
電波品質は、
カバレッジ(RSRP)
品質(RSRQ)
干渉(SINR)
ネットワーク構造(NSA/SA)
の総合結果で決まります。
